TRIVIAL-REWRITE(8) TRIVIAL-REWRITE(8)
名前
trivial-rewrite - Postfix アドレス書き換え・解決デーモン
書式
trivial-rewrite [generic Postfix daemon options]
解説
trivial-rewrite(8) デーモンは3種類のクライアントサービス要求を処理します:
rewrite context address
アドレス書き換えの場面に従って、アドレスを標準形式に書き換 え ま
す:
local $myorigin または $mydomain で指定されたドメイン名を不完全
なアドレスに加えます; 以下に記述したように swap_bangpath
お よび allow_percent_hack 処理をおこない、ソースルートア
ドレス (@site,@site:user@domain) を user@domain という 形
に削ります。
remote $remote_header_rewrite_domain で指定されたドメイン名を不
完全なアドレスに加えます。それ以外は local アドレス書き換
え の 場合と同じです。これによりPostfixが下手に書かれたリ
モートクライアントからの spamにローカルドメインを付けない
ようになります。
resolve address
一 つのアドレスを4組 (transport, nexthop, recipient, flags) に解
決します。結果の意味は次の通りです:
transport
使用する配送エージェント。これは master.cf ファイルのエン
トリの最初のフィールドです。
nexthop
送り先のホストおよびオプションで配送方法の情報。
recipient
nexthop に渡されるエンベロープ受信者アドレス。
flags アドレスクラスやアドレスが中継を必要とするかどうか、アド
レスに問題があるかどうか、要求が失敗したかどうか。
verify address
アドレス検証を目的としてアドレスを解決します。
サーバプロセスの管理
trivial-rewrite(8) サーバはPostfix masterサーバの管理下で動きます。それ
ぞれのサーバは同時に複数の接続を扱うことができます。クライアントの接 続
時に全てのサーバが使われていると、 master は新しい trivial-rewrite サー
ビスプロセスを生成しますが、 trivial-rewrite サーバプロセス制限を超える
こ と は あ り ま せ ん 。それぞれの trivial-rewrite サーバは少なくとも
$max_use 個のクライアントにサービスしたり、$max_idle 秒のアイドル時間が
経過すると終了します。
標準
なし。このコマンドは外界と接触しません。
セキュリティ
trivial-rewrite(8) デーモンはセキュリティに注意を払う必要がありません。
デ フォ ル トでは、このデーモンはリモートまたはローカルユーザと話しませ
ん。chroot された環境で低い特権に固定されて動くことができます。
診断
問題や処理は syslogd(8) に記録されます。
設定パラメータ
忙 しいメールシステムでは、trivial-rewrite(8) に影響する main.cf の変更
が取得されるまでに長時間経過するかもしれません。変更を早くした け れ ば
"postfix reload" コマンドを使ってください。
以 下 の 文 章 はパラメータの概要のみを提供します。例を含む詳細は post-
conf(5) を参照してください。
互換性の制御
resolve_dequoted_address (yes)
受信者アドレスの引用の中を見ることで、正確にではなく安全にアドレ
スを解決します。
resolve_null_domain (no)
"@" null ドメインで終わっているアドレスを無効なものとして拒否す
るのではなく、ローカルホスト名が指定されているものとして解決しま
す。
アドレス書き換えの制御
myorigin ($myhostname)
ドメイン名で、ローカルで投函されたメールはそこから来たよう に 見
え、またローカルで投かんされたメールはそこに配送されます。
allow_percent_hack (yes)
"user%domain" の形式から "user@domain" への書き換えを有効にしま
す。
append_at_myorigin (yes)
ローカルで投函されたメールに、ドメイン情報のないメールアドレスに
文字列 "@$myorigin" を付け加えます。
append_dot_mydomain (yes)
ロー カルで投函されたメールで ".domain" 情報のないアドレスに文字
列 ".$mydomain" を付け加えます。
recipient_delimiter (empty)
ユーザ名と拡張アドレス (user+foo) の間の区切り。
swap_bangpath (yes)
"site!user" から "user@site" への書き換えを有効にします。
Postfix 2.2以降で使えます:
remote_header_rewrite_domain (empty)
このパラメータが空の場合には、リモートクライアントからのメッセー
ジヘッダを一切書き換えません; それ以外の場合はリモートメッセージ
ヘッダを書き換え、不完全なアドレスに指定されたドメイン名を加えま
す。
ルーティングの制御
以下は Postfix バージョン 2.0 以降に適用できます。それより前のバージ ョ
ン で は 次 のサポートがありません: virtual_transport、 relay_transport
、virtual_alias_domains 、virtual_mailbox_domains お よ び
proxy_interfaces。
local_transport (local:$myhostname)
$mydestination、$inet_interfaces または $proxy_interfaces にマッ
チするドメイン宛の、デフォルトのメール配送 transport。
virtual_transport (virtual)
$virtual_mailbox_domains パラメータ値にマッチするドメイン宛の 、
デフォルトのメール配送 transport。
relay_transport (relay)
$relay_domains パラメータ値にマッチするドメイン宛の、デフォルト
のメール配送 transport および next-hop 情報。
default_transport (smtp)
$mydestination 、$inet_interfaces 、$proxy_interfaces 、
$virtual_alias_domains 、$virtual_mailbox_domains ま た は
$relay_domains にマッチしなかったドメイン宛の、デフォルトのメ ー
ル配送 transport。
parent_domain_matches_subdomains ('postconf -d' の出力を参照)
明 示 的 な ".domain.tld" パターンを要求する代わりに、自動的に
"domain.tld" のサブドメインがマッチする Postfix の機能。
relayhost (empty)
オプションの transport(5) テーブルにエントリがマッチしなかった場
合の、非ローカルメールのデフォルトの送り先ホスト。
transport_maps (empty)
受 信 者アドレスから (メッセージ配送 transport、next-hop 配送先)
へのマッピングを持つ、オプションの検索テーブル。
アドレス検証の制御
Postfix 2.1 は送信者および受信者アドレス検証を導入しました。この機能 は
実際には配送されないプローブEメールメッセージを送ることで実装されていま
す。デフォルトでは、アドレス検証プローブは通常のメールと同じルートを 使
い ます。アドレス検証プローブのメッセージルーティングの一部を上書きする
には、次の1つ以上を指定します:
address_verify_local_transport ($local_transport)
アドレス検証プローブに対する local_transport パラメータ設定を 上
書きします。
address_verify_virtual_transport ($virtual_transport)
ア ドレス検証プローブに対する virtual_transport パラメータ設定を
上書きします。
address_verify_relay_transport ($relay_transport)
アドレス検証プローブに対する relay_transport パラメータ設定を 上
書きします。
address_verify_default_transport ($default_transport)
ア ドレス検証プローブに対する default_transport パラメータ設定を
上書きします。
address_verify_relayhost ($relayhost)
アドレス検証プローブに対する relayhost パラメータ設定を上書き し
ます。
address_verify_transport_maps ($transport_maps)
アドレス検証プローブに対する transport_maps パラメータ設定を上書
きします。
その他の制御
config_directory ('postconf -d' の出力を参照)
Postfix main.cf および master.cf 設定ファイルのデフォル ト の 場
所。
daemon_timeout (18000s)
ビルトイン監視タイマーによって終了するまでの、Postfix デーモンプ
ロセスが要求を扱うことができる時間。
empty_address_recipient (MAILER-DAEMON)
null アドレス宛のメールの受信者。
ipc_timeout (3600s)
内部通信チャネルを使った情報の送受信の時間制限。
max_idle (100s)
Postfix デーモンプロセスが終了するまでに次のサービス要求を待つ最
大時間。
max_use (100)
Postfix デーモンプロセスが終了するまでの接続要求の最大数。
relocated_maps (empty)
もう存在しないユーザやドメインの新しい連絡先の情報を持つ、オプシ
ョンの検索テーブル。
process_id (read-only)
Postfix コマンドまたはデーモンプロセスのプロセス ID。
process_name (read-only)
Postfix コマンドまたはデーモンプロセスのプロセス名。
queue_directory ('postconf -d' の出力を参照)
Postfix トップレベルキューディレクトリの場所。
show_user_unknown_table_name (yes)
"User unknown" 応答で受信者テーブルの名前を表示します。
syslog_facility (mail)
Postfix ロギングの syslog facility 名。
syslog_name (postfix)
例えば "smtpd" が "postfix/smtpd" となるようにするために syslog
レコードのプロセス名の前に付けられるメールシステムの名前。
Postfix バージョン 2.0 以降で使えます:
helpful_warnings (yes)
問題のある設定をログで警告し、参考になる忠告を提供します。
関連項目
postconf(5), 設定パラメータ
transport(5), transport テーブルの書式
relocated(5), "ユーザは移動しました" テーブルの書式
master(8), プロセスマネージャ
syslogd(8) システムロギング
README ファイル
ADDRESS_CLASS_README, Postfix アドレスクラス howto
ADDRESS_VERIFICATION_README, Postfix アドレス検証
ライセンス
The Secure Mailer license はこのソフトウェアと一緒に配布されなければ い
けません。
作者
Wietse Venema
IBM T.J. Watson Research
P.O. Box 704
Yorktown Heights, NY 10598, USA
TRIVIAL-REWRITE(8)